谷中
Ethnorth galleryさんでの「
音が聞こえてくる絵本」展では、二日目にイベント「岩崎和音さんに聞いてみよう♪」を開催しました。
岩崎和音さんは、イランの古典楽器
サントゥールの演奏家。実はアイコウが初めて岩崎さんにイベントでの演奏をお願いしたのは2011年のことで、「あれから13年かぁ」と遠い目になりました。今回のイベントでは、その13年の間になさった留学のことをはじめ、いろいろなことを伺いつつ演奏まで堪能するというとても贅沢な時間になりました。

全体で1時間30分のイベントは、前半と後半に分かれ、前半はアフマドレザー・アフマディーが文章を書いた絵本『春、ぼくらは鳥を呼び、鳥は応えた』を耳で楽しむことを目指し、岩崎さんにご協力いただきました。
絵本『春、ぼくらは鳥を呼び、鳥は応えた』
絵本『春、ぼくらは鳥を呼び、鳥は応えた』は、アフマディーが画家のファラ・オスーリーとコンビを組んで創作した「ぼくとおじいちゃんの話」シリーズの一作で、ある鳥と「ぼく」の一家をめぐる物語です。鳥は7色の羽を持ち、7つの歌を歌い、訪れる家々に希望を運ぶのですが、毎日歌うというその「7つの歌」に、イラン古典音楽の専門用語がそのまま使われています。
土曜日はマーフールの歌。
日曜日はシュールの歌。
月曜日はホマーユーンの歌。
火曜日はセ・ガーの歌。
水曜日はチャハールガーの歌。
木曜日はラースト・パンジュガーの歌。
金曜日はナヴァーの歌。
という感じで。となると、この「マーフール」とか「シュール」って一体なんだろう。どういう音なのかな?という素朴な疑問が湧きますよね。それを、実演を交えて岩崎さんに解説していただきました。
岩崎さんによると、西洋音楽でいうところの長調と単調にあたるものが、イラン古典音楽ではこの7つなのだそう。おお!な、なるほどー!この説明わかりやすい!長調と単調ならばざっくりと「明るい」「暗い」というイメージに二分されますが、7つもあるとそこが単純には分けられないんだそうです。ある程度のイメージはあっても、その時々で、明るいようにも暗いようにも悲しいようにも楽しいようにも聞こえるという……。大変興味深いです。
などなどの説明をうかがった上で、朗読とのコラボを行いました。構造上続けて弾くことができないチャハールガー以外は、上記の7つの言葉が出てくるたびにその音階でワンフレーズ演奏していただいたので、鳥が毎日どんな歌を歌っていたのかが具体的にわかって、より物語の世界に入っていけました。さらにこの物語では7つの「色」も重要な役割を果たすのですが、サントゥールのきらめくような音と色のイメージがぴったり合って、鳥の美しさ、色の美しさが際立って感じられた気がします。音と色の親和性が感じられるコラボになりました。
とここまでが前半で、少し休憩を挟んだ後、後半はイラン古典音楽との出会いやイランでの留学生活などについてうかがっていきました。大阪音楽大学で「音楽学」として民族音楽を研究していた岩崎さんが、卒業旅行で初めて行ったイランで、「生きた」音楽体験をしたことがサントゥール演奏家への道につながっていったというところが特に印象に残っています。そしてちょうどその人生の転換点らしきところでたまたまサラーム・サラームから声がかかったということで、ほんと、ご縁て不思議ですね。
そうして最後、ソロ演奏をご披露いただきました。様々な物語の舞台が切れ目なく上演されていくようなめくるめく演奏。サントゥールという楽器が持つ表現の幅広さが十分に感じられる、この日の最後にふさわしい一曲でした。
岩崎さん、ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!アイコウによる思いつきから始まった今回のイベントですが、岩崎さんのおかげでとても充実したものになりました。音楽と絵本でまた何かできそうな気がしますよ。ぜひ次回の企画をご期待ください。
