遅くなりましたが、原宿
シーモアグラスでの「ヌーシーン・サファーフー展」、17日(金)に無事終了しました。
ご来場いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
「公平な分配」
今回のヌーシーンの絵は、CGを駆使して描かれたものでした。
絵の中にいる人物や動物たちの不思議な佇まいと、それと対照をなすようなCGならではの鮮やかな色の構成は、ルーミーという13世紀の神秘主義詩人が伝えた言葉が、一見わかりやすそうに見えて、でも実は、捉えたという感覚を容易に掴ませない奥深さを内包するものであることを、絶妙なバランスで表現していると思います。一つの物語に一枚の絵、という潔い構成も、今回の絵にとても合っていました。
ヌーシーン、見事なイラストレーターです。
そして、原画だけれども比較的安価で販売できたのもCGだからでした。
「すてきな、おもしろい絵本原画を展示する」という原則は変わらず、でも、今までやったことのなかったことをあれこれと地味に試した、サラーム・サラームにとっても興味深い展覧会でした。
毎年新しいことをさせてくれるシーモアグラスさんに感謝!

そして、最終日の夜には「小野明のひとり絵本夜話Vol.2」が開催されました。
トークは、
ちひろ美術館・東京で開催中の
日本の絵本100年お歩みで小野さんがなさった対談ことから始まりました。日本の絵本は世界屈指のレベルであるといこと、出版されたどの絵本にも必ず編集者の存在があるということ、やっぱり売れる売れないという悩ましい問題があるということ、絵本作りと読み聞かせのこと…などなどなど、絵本に興味のある方々を前に、とても具体的にお話しされました。
そして後半はイランの絵本についてです。高いレベルにあるはずのイランの絵本がなぜ日本で出版されにくいのか、ということについて二人で愚痴(!)を語り合いました。ここでも小野さんは具体的に絵本を見せながら、日本の絵本作りではほぼ考えられないようなイラストレーションの構成や、でもそこがまさにイランの絵本の魅力なんだけどなぁ…ということなどを話してくださって、隣に座っているわたしが「そうか〜。なるぼど〜」と唸っておりました。小野さんと話すと、イランの絵本の魅力について語る別の言葉に気づかせてもらえるので、いつも刺激があります。
たくさんの日本の読者が楽しめるイランの絵本を出版する、というのはまさに挑戦です。でもその挑戦を諦めたくない。まだまだできることはあると思っています。
小野さん、参加者のみなさま、ありがとうございました!
『スーフィーと獣と王たちの物語』(2014年刊Topipittori、イタリア・ミラノ)