難しいかと思われた竜の出てくる絵本の紹介ですが…いきなりありました。
『竜と水の物語』(1986年初版)
豊かな水量で周囲の土地を潤してきた川が突如大きな竜によってせきとめられてしまうが、下流に住む人々がなんとかかんとか竜をやっつけるという、簡単にいうとそういうお話です。少なくなった水を奪い合う村人同士の醜い争いとか、若者一人だけに竜退治を任せた葛藤とか、そういう人間模様も描かれています。
竜は何の言い訳も許されない完全なる悪役で、最後には退治されます。
物語における鬼も似た存在だなと思いますが、この場合の竜は人間の嫌な部分そのものなんでしょう。ずっとうまく隠してきても、ふとした拍子に顔を出す本音=エゴというものは、この絵の竜のように恐ろしい存在なんだと…物語ではめでたく退治できるのですけれどね。
ともあれ、幸先よく一冊見つかって、なんだか希望が見えたような。三冊くらいはご紹介できたらいいなぁと思います。「いいもん」の竜がいるといいですけど。