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2017年 10月 14日 ( 1 )

「二人の作品を深く知ろう!」カロ編 の様子と作品について

初日の夜は、イベント「二人の作品を深く知ろう!」カロ編が催されました。
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平日夜の開催でしたが、こんなに多くの方が参加してくださいました!ありがとうございました。

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カロさんではプロジェクタを使い、画像を見ながら話しをしました。作品について話す前に、「二人の絵本は10年前から知っていた」ことや、「でも初めて対面したのは今年の5月だった」こと、「その会った場所というのはモルテザーがやっているアウトサイダーアートのギャラリーだった」ことや、「二人に連れていってもらったテヘランブックフェアのすごさ」などなどを脈絡もない感じで話しました(わたしの中ではあったのですが)。


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そしていよいよ作品についてです。ナーズリー作品は、すでに何度も書いていますが、ゾロアスター教に関連する神話。こちらの画像は、マシュヤグとマシュヤーナグという人類最初の男女がいかにして子孫を増やしていくことになったのか、という内容の手製本の一場面です。わりと驚くような展開なのですが、「でも最初の人間だったらそうしちゃうかも」と思わせる妙な説得力があります。多分それは無駄のないシンプルなシルクスクリーンの線も関係しています。絵に仰々しさがないことで、紛れもなく経験値ゼロである最初の人間の単純さ、あるいはその単純さの中にさえ存在する欲望、みたいなのが、ダイレクトに伝わってくるのです。
それにしてもシルクスクリーンの仕組みを知った今、この作品の細かい表現の美しさに唸ります。オレンジの鮮やかさも!


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こちらは「あらゆる樹木、植物の種子を内包する木、ヴィスプビーシュ」。ゾロアスター教の経典『アヴェスター』に登場する聖なる木で、霊鳥シーモルグが巣を作っている場所でもあります。そのシーモルグが飛び立つたびに枝が伸び、舞い降りるたびに種が飛び散る…。この「本」は小さく折り畳む形になっているのですが、読み手がページを開いたり閉じたりすることによって、その繰り返される幸福な営みを「体感」できるようになっています。
この画像はとても残念なんですが、銀のインクで刷られた木はほんと、神々しい感じです。


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続いてはアミーンの手製本作品、『空を飛んだケイカーヴース王』。11世紀に著された民族叙事詩『シャーナーメ(王書)』からの物語です。鬼にそそのかされて空を飛びたくなったケイカーヴース王が、従者に空を飛ぶ方法を考えさせるのですが、その結果がこれ。腹をすかせたワシを玉座にくくりつけ、さらに上方には羊のもも肉を刺しまして、それを目掛けてワシが飛ぶようにした次第。もも肉に囲まれた王のドヤ顔がおもしろすぎますし、この場面以外も、鬼の集会場面などは吹きます。

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「目のある尻尾を持つライオン」

そして最後に、10枚あるアミーンの絵を紹介しました。主に鬼やライオンをモチーフにしている今回の絵は、『被造物の驚異と万物の珍奇』という博物誌の挿絵にインスピレーションを受けて創作されたものです。アミーンが参考にしたのは13世紀にガズヴィーニーという人が書き、19世紀にホイという人が絵を描いたバージョン。ちょっとこんがらがりそうですが、要はホイという人の絵に魅かれたってことですね。
どういう絵かというと…

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(Ajayebol Makhlughate Ghazvimi dar tasavirie chape sangie Aligholi Khoi, 2014年刊より)
こういう絵。名前の通り「驚異と珍奇」が満載なわけです。
アミーンはこの19世紀の石版画を見て、鬼やライオンのイメージの変化に興味を持ったようです。元来(それこそ紀元前のアケメネス朝くらいから)強いものの象徴としてイメージされ、そのように描かれてきたライオンや鬼が、ホイの絵ではどうもそういう意味は薄れて、ちょっとおもしろい存在になっている。そこがアミーンにとっての注目ポイントだったようです。
「意味のずれ」に興味を持ったアミーンは今回、鬼やライオンを、時や場所の概念が意味をなさなくなるような空間に配置することで、それを表現しようとしました。
地上でもなく天上でもない「雲の上」、「粗末な玉座」、「小さなお立ち台」「高貴な召使い」…。そしてなんだかみんな妙に楽しそうに、自由そうにしているのですが、よく見ると、糸で吊られた板に乗っていて、それは実は何かにコントロールされています。
想像と現実の狭間、いるといないの間くらいの半端なところにいるものたちを描き出したのが、今回のアミーンの作品です。
もう一枚ご紹介しましょうか。
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「鬼顔の王女」

王女だけれども鬼顔で、庶民の椅子に座っています。髪型がファンキー。
アミーンの絵も金や銀が効果的に使われていて、生で見る方が何倍も美しいです。

いやはやおもしろい絵を描いたなぁ、と思います。ユーモアもたっぷりでいくらでも深読みできます。ぜひぜひカロさんで10枚全部じっくりご覧ください。

というわけでトークの方はこんな感じで終了し、後半はユメのシルクスクリーンの実演です。
ナーズリーたちのシルクスクリーン工房の写真をお見せしたりしながら、てきばきとわかりやすい説明をするユメ氏。そしてさささっと手を動かして、あっという間にきりっとした美しい線の模様を紙に写し取りました。作業中の写真がなくて、す、すみません…
刷るのに力がいらない感じとか、それなのにくっきりとした線になるとか、見るだけでもわかっていただけたのではないかと思います。
そしておみあげになったのがこちらのかっこいいノート。
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世界に一つですからね。見るたびにナーズリーとアミーン展のことを思い出してください…

というカロさんでの1時間半でした。
もう一度言いますが、ご参加くださったみなさま、誠にありがとうございました!

展示は28日(土)まで続きます。
ぜひ作品を見にカロさんへお出かけください。
サラーム・サラームはおりませんが、カロさんが完璧に案内してくださいます!
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by salamx2 | 2017-10-14 00:11 | nazli_amin_1709 | Comments(0)