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広松さんとのトークイベント@シーモアグラス

10月最後の日。世の中はハロウィンでしたが、シーモアグラスでは、イランの絵本や世界の絵本をめぐる、ゆるいようでとても熱いトークイベントが開かれました。

今回は絵本評論家の広松由希子さんがトークのゲストです。
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(満員御礼!ありがとうございました)

ほぼ打ち合わせなしで始まったトーク。
まずはこの展覧会の主役、マルジャーンの作品のことから話しはじめました。

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(『花壇の中にお嫁さんとお婿さんが生えていた』の表紙。この作品の習作が展示中です)
マルジャーンが絵本の絵を描き始めたのは10年前。デビュー作は『花壇の中に、お嫁さんとお婿さんが生えていた』です。これはマルジャーンの絵に詩人アフマドレザー・アフマディが文章をつけたもので、タイトルからも察しがつくように、なんといいますか、規格外の絵本です。
わら半紙のような茶色い紙に鉛筆とちょっとだけの赤と修正液の白。イランの絵本には色鮮やかな絵本が多い中、当時も今もかなり異彩を放っている一冊です(残念ながら絶版となっていて、今では手に入りません)。

そして今回展示したのが「オウムと商人」の原画。
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一見、同じ人が描いてるとは思えないですね。10年前に『花壇の中に〜』の原画展も見てくださっている広松さんも、その作者が今回のマルジャーンになかなかつながらなかったそうです。
画像ではその迫力が伝わりにくいですが、この絵の驚くのは、すべて鉛筆または色鉛筆で手描きされているということです(背景の白はアクリル絵の具。背景を全て白で塗っています)。
色鉛筆でもうまく塗り重ねるとこんなに繊細な色が表現できるんだなぁ、と思います。そして何より柄の細かさが尋常ではない!この細かい作業を8枚の原画全てでやりきっているマルジャーンの集中力を思います…人間そのものの印象はほんわかしているだけに余計ね…。

原画を見た方からは、「布を貼っているのだと思ってた!」とか「この柄の布がぜひ欲しい」とか「このお洋服そのものが欲しい」などなど様々なご感想をいただきました。
しかし何より、まだイランでも出版されていない(決まってもいない)というのが残念です。なんとかならないものか…

そして話しはイラン絵本の魅力の秘密は何なんだろう、という方向へ。広松さんはBIB(ブラティスラヴァ世界絵本原画展)のシンポジウムで聞いたアリー・ブーザリーさんの発表がとてもわかりやすかった、とおっしゃってました。そのシンポジウムのテーマは"The National Cultural Identity of Illustration in the Time of Globalization."。要は、インターネットなどを通じてグローバル化している世界において、イラストレーションはナショナルな文化的アイデンティティをどのように持っているのか、あるいは持ちうるのか、ということかと思います。
おもしろそうですねぇ。レジュメもこのページからダウンロードできます。早く読まなくちゃ!

その後は、というかひたすら流れに任せた進行でしたが、わたしや広松さんが持って来た絵本をご紹介するコーナーへ。わたしは「日本では恐らく翻訳出版など絶対されないであろう」という世にも珍しいイランの絵本を何冊か紹介しました。一番参加者にうけたのは『ゴリーとシマウマ』という絵本。自意識過剰なダメ詩人のシマウマに尽くしに尽くしたけれども、最後には「きみは焼いたタマネギの匂いがする主婦になってしまった」とか言われて出ていかれてしまうゴリーのお話。この絵本のことはまたゆっくり書きたいですが、自分の中では「何が言いたいのかさっぱりわからん」と思っていたこの絵本が意外と高評価で、「是非全訳を」と励まされたのは大変面白いことでした。
広松さんは、めずらしい装丁の絵本(ふかふかの袋に入っている『手袋』とか!)や普段なかなか見られないトルコやレバノンの絵本を見せてくださいました。BIBで鑑賞者にダントツで人気のあるトルコのフェリドゥン・オラルの本を見ながら、魅力は何だろうねと語りあったり、広松さんいち押しのレバノンの絵本『この世界は…』(だったと思う…間違っていたらすみません!)は、シンプルでセンスのある言葉遣いに魅了されまして、わたしも日本で出版されたらいいのに!と思いました。

などなどなど、書ききれないことが色々あって(今日書いた分だけでも、いつものわたしなら7回くらいに分けられる量)楽しい時間を過ごした後、最後に少しペルシャ語の朗読をして終わりました。

いつもどおりわたしはいっぱいいっぱいで、恐らくたまに変なことを口走っていたかと思いますが、広松さんというすばらしいゲストのおかげでこの上なく濃く、充実した時間になりました。
そして閉会後、参加してくださった方々とお話しする中で、改めて「イランの絵本を紹介することを続けていこう」と思いました。

参加してくださったみなさま、広松さん、シーモアグラスのスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。
サラーム・サラームはこれからもがんばります!

さて、明日はおまけの4日ですよ。すばらしい原画が見られますので、ご都合のつく方は、明日の18時までにぜひお越し下さい!
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by salamx2 | 2014-11-03 11:36 | 展覧会 | Comments(0)