「このころのライラは、まるで口をふさがれた袋の中の、とぐろを巻いた蛇のような日々を送っていたものである。」(岡田恵美子訳)
これは、愛するマジュヌーンとの結婚がかなわず、別の人と結婚させられたライラの鬱々とした日々を表現した箇所です。
ペルシャ文学、特に古典では比喩やら隠喩やらがものすごく使われます。この『ライラとマジュヌーン』もご多分にもれず、てんこもり。正直「くどいなぁ」と思う時もあります。
でも、今回引用したこの部分は参っちゃいました。
美しいライラをとぐろを巻いた蛇に喩えてしまう大胆な表現なのに、これ以上彼女の苦しい状態を的確に表現する言葉はないように思えるんですよね。美しさを捨てた、でも強くて危険なライラの本気が伝わってくる表現です。
こういう比喩表現がいっぱいある本なんです、これは。
ツボにはまる大胆比喩が見つかる可能性高いです。